クリパルヨガとは
「気づきのヨガ」とも呼ばれるクリパルヨガは、年齢や性別、体の柔軟性といった個々の違いを尊重し、その人に合った動きを提案します。ポーズを美しくとることよりも、ヨガをする中で起きる「実際の感覚」に気づきを向けるクリパルヨガ。どこか遠い所へ行くのではなく、「いまここ」に存在するためのヨガです。
忙しい生活の中で見失いがちな「自分自身」と繋がることで、ホッとするような安らぎや、安心感を感じられたり、勇気づけられるような体験をすることもあるでしょう。
インドに源流を持ち、アメリカで広まったクリパルヨガは、時代と共に発展を続けています。とても瞑想的で、セラピー的な要素を含んだ、現代人におすすめのヨガです。
ここでは、クリパルヨガについて、書籍「クリパルヨガ」、YTTマニュアル、クリパル・ジャパンのウェブサイト、私の体験などから紹介したいと思います。
目次
- 背景
- クリパルヨガのアプローチ
– 体の知恵
– エッジ
– 3つのステージ - クリパルヨガはこんな人におすすめ
- クリパルヨガを体験しよう
– 東京・渋谷・新宿・世田谷エリア en yoga
– 埼玉・飯能エリア クリパル・ヨガスタジオ - クリパルヨガの本
背景
クリパルヨガは、インドのヨギであるスワミ・クリパル師(1913-1981)の教えに基づいた、ヨガの流派です。
1960年台に、弟子のアムレット・デサイ師が最初にアメリカに伝え、スワミ・クリパル師の教えを西洋の生徒達に合わせたものに適応させました。これが「クリパルヨガ」という名前で北米に普及し、1974年クリパルセンターが創設されます。クリパルヨガは、インドの古代哲学やヨガ思想に基づいたヨガでありながら、時代と場所に適した現代的なアプローチをとるスタイルのヨガとして発展していきす。
「クリパル」とはサンスクリット語で“慈しみ”を意味し、スワミ・クリパル師の教えは、今もクリパルヨガのアプローチの基盤となっています。アメリカマサチューセッツ州にあるクリパルセンターは、北米最大のヨガとホーリスティック・ヘルス・センターとして今も国内外から多くの人が訪れており、2018年のヨガジャーナルアメリカ版では「死ぬまでに行きたいリトリート3選」としてクリパルセンターが選出されています。
クリパルヨガのアプローチ
クリパルヨガの本質は、ポーズでも、呼吸のエクササイズでも、瞑想のテクニックでもありません。それは、一瞬一瞬を生きる体験の中で、どうしたら今を十分に生きるかを学ぶことなのです
「クリパルヨガ -ヨガの実践と人生へのガイド」第1章
クリパルヨガのクラスでは、生徒が集中して自分のヨガ体験を深めることができるようにデザインされています。ここではクリパルヨガの体験を深めていくヒントとなるキーワードをご紹介します。
〈体の知恵〉
クリパルヨガのクラスに参加すると、「体の知恵」という言葉に出会います。クリパルヨガでは「体の知恵」と繋がることで、自分の体が絶えず送っているメッセージ<健康で幸せでいるためには何が必要か>に耳を傾け、それを尊重することを促します。
例えば前屈のポーズをしている時、脚の裏が十分にストレッチされた状況で体は何を優先したがっているでしょう?
もう少し今の場所で感覚を味わっていたいのか?もうポーズから抜け出したいのか?もっと前屈して感覚を深めたいのか?
ポイントは「周りの人が前屈できているから自分も」というような思考に引っ張られないことです。自分の内面で起きている呼吸と感覚に注意を向けて、寄り添うように観察してみることです。
体の知恵は直感の一種なので、感じる力や察する力には個人差がありますが、ヨガによって体とのコミュニケーションを密接にすることでキャッチしやすくなります。
〈エッジ〉
エッジという言葉はもともと心理学の世界で使われていた言葉だそうですが、この言葉をヨガの世界に初めて持ち込んだのがフェニックス・ライジング・ヨガセラピーの創始者であるマイケル・リー師です。
エッジとは「柔軟性の健全な限界点であり、心が自然に集中する場所」とか「きつ過ぎず、ゆるみ過ぎないところ」などと表現されます。クリパルヨガではポーズをとりながら、エッジを探るよう促します。エッジは固定された部分ではなく、移り変わるものです。ヨガをする中でその日の肉体的・心理的なエッジを見つけ、そこに意識を向けていきます。エッジの中で起きてくる体験は一人一人違いますが、大きな気づきを得たり、普段の自分の在り方に気づき成長へと繋げていく人も少なくありません。エッジはクリパルヨガのエッセンスです。
〈3つのステージ〉
クリパルヨガでは、ヨガのプロセスを3つのステージに分類した独自のメソッドがあります。
・ステージ1
安定してヨガのポーズを行うための土台づくりを行います。アライメントを整え、体の動きと呼吸を合わせ、自分の体験に意識を向けます。
▷体への気づきを高め、心の集中を育む
▷エッジの発見
▷意志「自分がヨガをする」(I do YOGA)
・ステージ2
ポーズを保つことでわき起こる感覚や思考、感情に集中し、それに抵抗するのではなく、ともに寄り添う慈悲の心を養います。
▷注意を内面へ広げ、集中する
▷エッジの探求
▷意志と放棄「自分がヨガをして、ヨガが自発的に生じ始める」
・ステージ3
本能と直感に対する意識を高め、ポーズの形を手放し、体からの知恵にまかせ自由に動きを展開させます。
▷自然にゆだねる
▷動く瞑想
▷放棄「ヨガが自発的に生じ始める」(YOGA does you)
かつてクリパルヨガでは、ステージ2〜3がとてもフォーカスされていた時代がありました。ポーズを長く保ち、エッジから解放された後の、自然にまかせエネルギーに委ねる体験こそがクリパルヨガ!
ですが私がティーチャートレーニングを受けた頃から、ステージ1をしっかりと練習することがまず必要なことだと言われるようになりました。初めはその理由があまり分からないでいましたが、学び続けるうち、しっかりと安定した器(=心と体)があるからこそ、自己探求を深めるができるのだと理解するようになりました。
現代を生きる私たちにとって必要なことは、社会の摩擦から逃れるようにどこか遠いところへ向かうのではなく、しっかりと地に足をつけて今、目の前にある道を歩くことではないでしょうか。そのための心身を鍛え、人生の旅路に光を灯してくれるのがクリパルヨガです。
最近のクリパルヨガのクラスではステージ3を行うことはあまりないですが、クリパルヨガの練習を継続していくことで自然発生的にステージ3の体験が起きてくるのだと実感しています。
クリパルヨガはこんな人におすすめ
クリパルヨガでは体の柔軟性を生徒に求めません。
クリパルヨガは体を入り口に自己探求するヨガです。マットの上で体験すること全てをジャッジせず見守る自身の在り方を培います。クリパルヨガに興味を持ったらまずはクラスを体験してみることをおすすめします。
- ヨガで心身をリフレッシュさせたい
- 心身のセルフケアをしたい
- 自分に合った動きを提案してくれるヨガを探している
- 心と体の繋がりを感じられるヨガをしてみたい
- 心と体のバランスを取り戻したい
- ヨガの実践を日常生活でも活かしたい
- 伝統的な教えに基づいたヨガをしたい
- ヨガの学びを深めていきたい
クリパルヨガは、セラピー的な要素があり、心を大切にした生活を送りたい、自分のことをもっとよく知りたい、社会の摩擦の中で自分を見失わずに生きていきたいと願う全ての人におすすめのヨガです。
クリパルヨガを体験しよう
東京・渋谷・新宿・世田谷エリア
en yoga
500時間トレーニングを修了した、米国クリパルセンター公認ヨガ教師2人が主催するヨガクラス。
対面形式で定期的にクリパルヨガを練習することができます。
埼玉・飯能エリア
クリパル・ヨガスタジオ
クリパルヨガを日本に紹介した三浦敏郎師によるスタジオです。日本で唯一、米国クリパルセンター認定となる教師トレーニングを開催しています。
オンライン・対面で様々なプログラムを提供。クリパルヨガと出会い、学びを深めたくなったら是非アクセスしてみてください。
クリパルヨガの本
クリパルヨガに関する出版物で唯一日本語に翻訳されている書籍です。
クリパルヨガの歴史やテクニック、哲学など盛り沢山の内容がわかりやすい言葉で解説されており、何度でも読み返すことができる1冊です。
クリパル・ジャパンOnline Salesで購入できます。
「クリパルヨガ -ヨガの実践と人生へのガイド」
著:リチャード・フォールズ
監修:三浦徒志郎
発行:2011年9月